5. 日本人の腸の健康

◎日本人は腸が長い

日本人は欧米人などに比べると胴が長いと言われます。
確かに、欧米人は胴が短く、脚が長い体型ですが、胴の長さだけを比べてみると欧米人は身長がある分だけ、実際のサイズでは日本人よりも胴が長い傾向があります。

それでも、その胴の中に詰まっている腸の長さを比べてみると、
日本人の小腸は5~7メートル、大腸は1.5~2メートルと、欧米人よりも全体で2~3メートルほども長くなっています。

この違いは、歴史的に食べてきたものの違いが大きく関係しています。

日本人の食事は肉食が少なく、魚介類や穀類、野菜類などの低栄養のものを食べてきたことから、
栄養吸収を高めるために徐々に腸が長くなり、吸収する腸壁の面積を広くしてきました。

◎日本人は便通がよい

腸が長いと、便通は悪くなりやすいと言われています。
それは通過するのに時間がかかるからです。

しかし、日本人は便通がよい国民です。
日本人の便通の回数は、今でも週平均で7回となっています。
便秘がちの人もいれば、1日に何回もトイレに行く人もいるものの、
それでも平均すると毎日1回の便通があることになります。

それに対して、アメリカ人の便通は週平均5回となっています。
つまり、週に2日、排泄がない日があっても当たり前のことで、これは便秘とは思われないということです。

日本人なら週に2日も便通がないと便秘と思われるようですが、この違いは食べているものに関係しています。

中でも一番影響しているのは食物繊維の摂取量の違いです。
食物繊維は腸壁を刺激して腸の蠕動運動を高めて、便通をよくしてくれます。

日本人の1日の食物摂取量は、国民健康・栄養調査(平成19年)は14.6gですが、
アメリカ人は10gほどでしかありません。

食物繊維の摂取量が多い分だけ日本人のほうが便通はよいのは確かなことですが、
以前と比べれば日本人の便通は悪くなっています。

日本人の食事摂取基準(2010年)によると、
食物繊維の摂取基準量は男性が19g以上、女性が17g以上となっています。

以前に厚生労働省が定めた食物繊維の目標摂取量は20~25gだったので、少なめとなっています。

これだけの食物繊維を摂るには、野菜の摂取量の目標値の350gをクリアする必要がありますが、
国民健康・栄養調査の結果では290gとなっています。

昭和30年代の食物繊維摂取量は22gだったので、20~25gを摂るには、その当時の食事内容を考える必要があります。
食物繊維を摂るというと、根菜や葉野菜を食べようとすることが多いかと思いますが、
摂っている食品を比べると根菜も葉野菜も昭和30年代と同じようになっています。

不足しているのは穀類や豆類、イモ類、それに海藻などの食物繊維で、
これらは昭和30年代の約半分にも減少しています。

◎善玉菌と悪玉菌

腸の中には約100種類、100兆個以上もの腸内細菌が棲みついています。
その総重量は1kgにもなっています。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。
善玉菌は腸内で発酵を進め、悪玉菌は腐敗を進めます。
日和見菌は腸内の環境によって善玉菌にも悪玉菌にも変化します。

善玉菌はビフィズス菌をはじめとした乳酸菌などで、
発酵を進めることによって腸内を酸性傾向にしていきます。

善玉菌は酸性傾向で増えやすくなっていますが、
腸内細菌の総量はほぼ決まっているので、
善玉菌が増えるほど悪玉菌は減っていくことになります。

また、悪玉菌は酸性傾向では働きが弱まるので、ますます善玉菌は増殖しやすくなります。

そして、日和見菌は酸性傾向にあると善玉菌の働きをするようになるので、
さらに腸内の状態がよくなっていくわけです。

善玉菌が増えると便は黄色くなり、臭いが弱くなり、便量が増えるようになります。

逆に、悪玉菌が増えた場合には、便は黒くなり、臭いが強くなり、便量も減っていきます。
そのために便通も悪くなってしまいます。

臭いが強くなるのは悪玉菌によって腐敗が進んでいる証拠ですが、
このとき、腸内ではアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールといった悪臭を発する有害物質が多く作り出されています。

これらの有害物質は腸壁を刺激するため、大腸がんになりやすくなると言われています。
さらに、影響はそれだけではありません。

大腸では水分を吸収して、便の量と水分量を調整していますが、水分が吸収されているときに、これらの有害物質は一緒に吸収されて血液中に入ります。

血液中に入った有害物質は肝臓に運ばれて、解毒、分解されますが、肝臓の能力を超える有害物質が入ってきたときには、肝臓から血管に有害物質が出てきて、全身に運ばれていくことになります。

このことが、さまざまな体調不良を引き起こします。
例えば、便秘になると肌が荒れますが、これは有害物質が皮膚の細胞まで運ばれて悪影響を与えている結果です。

ところで、善玉菌のエサ(エネルギー源)となるのは主には糖質、乳製品で、悪玉菌のエサとなっているのは動物性たんぱく質と脂肪です。
現在の洋風化が進んだ食事は、善玉菌が増えにくく、悪玉菌が増えやすいのです。

@hiro
@hiro

野菜の摂取量の減少などで腸内環境が悪くなっていますから、腸内環境の改善を心がけるべきです。

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